セリエA 第14節 Juventus VS. UC Sassuolo
◇結果
Juventus(H) ー UC Sassuolo(A)
2-2
20min ベンタンクール→ボヌッチ 1-0
22min カプート→ボガ 1-1
47min カプート 1-2
68min ディバラPK獲得→ロナウド(PK) 2-2
◆スタメン
Juventus
GK ブッフォン
DF クアドラード、ボヌッチ、デリフト、アレックス・サンドロ
MF ベンタンクール、ピアニッチ、エムレ・ジャン、ベルナルデスキ
※太字は前節から引き続きのスターティング選手。
交代
53min ディバラ IN ベルナルデスキ OUT
UC Sassuolo
GK トゥラーティ*1
DF トリアン、ロマーニャ、マルロン、キリアコプロス
MF ボガ、Magnanelli、ロカテッリ、ジュリチッチ、トラオレ
FW カプート
※読み方が分からない選手は英語表記(すみません)
交代
62min ダンカン IN トラオレ OUT
72min ミュルデュル IN ジュリチッチ OUT
90min ペルーゾ IN ボガ OUT
◇試合展開
Juveはいつもの4312。スタメンの変わったところと言えば、LSBアレックス・サンドロがスタメンに復帰。ブッフォンがスタメン。そしてエムレ・ジャンが第9節Lecce戦以来のLIHでのスタメンとなった。
Sassuoloは442≒4411(2もしくは11の部分はカプートとトラオレ)の守備陣形をベースに、ビルドアップが完了しJuve陣内に攻め込むと両SHと両SBを一列上げた2431のような形を取っていたように見える。
Juveは6分40秒ごろに自陣からのポジティブトランジションからチャンスを作ったり、15分にはベンタンクールの敵陣でのボール奪取から決定機を作り出すも、ボックス内で待ち受けていたエムレ・ジャンが痛恨の空振り。
Sassuoloはゴールキックからのビルドアップが非常に特徴的で自分らのスタイルをJuve相手に貫いたことに関して言えば一定の評価もできるし、それなりに機能していたように思える。しかしそれがあまり効果的だったとは思えない。
試合は20分になると一気に動いた。クアドラードが右サイドで幅と奥行きを取ったポジショニングを取ってベンタンクールからボールを受けたことで、相手のDFラインをゴール前まで深くに押し込んだ。そこでスペースが生まれたバイタルエリアに走り込んできたのがまさかのCBボヌッチ、そのままトラップして迷いなく振り抜いた右足で放ったシュートはディフレクションも相まってゴールに吸い込まれた。
そのわずか2分後、JuveのCKを処理しトラオレの運びとサイドチェンジを駆使したロングカウンターから、最後にはワンツーでJuveの最終ラインを抜けたボガのメッシ顔負けの鮮やかなループシュートでSassuoloは同点に追いつく。
後半開始早々SassuoloはJuveの最終ラインでのパス回しからの連携ミスを突き、カプートが逆転弾を決める。
50分には左サイドで幅を取っていたエムレ・ジャンからボックス内にグラウンダーのクロスが送られも、イグアインはうまく合わせられず、トゥラーティにセーブされてしまった。
54分ごろにはサッリは立て続けに2枚の交代枠を使い、ディバラとマテュイディを投入。2トップのロナウド、イグアインを残してのディバラ投入となった。
60分にはディバラのスルーパスからロナウドが裏抜けて、そのままGKと1v1の場面を作りネットを揺らすも、オフサイドで取り消し。
そして66分にはディバラが左のハーフスペースからボックス内に侵入したとこでファウルを受けPK獲得。ロナウドが落ち着いてこれを沈め、Juveは同点に追いつく。
72分にはSassuoloはMFジュリチッチを下げ、DFミュルデュルを投入。守備の強度を上げ、引き分け狙いの意図か。87分には途中で入ったラムジーの惜しい枠内シュートもあったが、GKトゥラーティはこぼしながらも、なんとかゴールラインを割る前にボールを回収。
結局、Sassuoloが耐え凌いだという形で、Juveはホームで引き分けることとなった。
◆感想
一時逆転を許すも、ロナウドのPK弾により追いつく!
Sassuoloの18歳GKトゥラーティは鮮烈デビュー!
・めんどくせー(誉め言葉)!!!デゼルビ流、ゴールキックからのビルドアップ。
なんなんだこの監督は!ゴールキックからどんだけ組み立てるんだこのヤロウは!まったくけしからん。世間を席巻したペップバルサならいざ知らず、プロンビンチャのそのへんでチャント歌ってそうなサポーターみたいな風貌をした監督が、仮にもイタリア王者相手に己の美学を押し付けてくるんだから、よほど強い心臓をお持ちなのは確かなようだ。
今回は何度も目にした、Sassuoloのゴールキックのシーンについて少し考えてみようと思う。まずは以下の画像をご覧ください。
もしかしたら漏れてるかもしれないが、自分の目で確認した限りでは計6本のゴールキックがあった。基本セットはだいたい上の画像の通りで、GKトゥラーティの脇にCB2枚を配置させ、WアンカーのMagnanelliとロカテッリを加えて2,4,63,73,19の5枚のユニットでW字のようなセットをゴール前に配置。
Juveの選手たちはルール上、オンプレーになるまでボックスには侵入できない。GKトゥラーティのキックに合わせてよーいドンで全力プレスをかけても、2トップ+トップ下1枚の3枚ではすべてのパスコースを消すことは難しそうだ。それに大外のレーンには両SBは幅を取って『逃げ道』を確保している。
そして6回のゴールキックを観察してみるとSassuoloの狙いが、画像でいう黄色いエリアにボールを届けアクションを起こし、最終的に本命のカプートorトラオレまでボールを届け、敵陣に侵入することのように見えた。
以下、6つのケースを発生時間、ビルドアップサイド(Sassuoloからみて左、中央、右)、結果でまとめてみた。
①7:40(左)
黄色いエリアで数的同数(4v4、解釈次第では3v3)を作るも、最後はジュリチッチ(#10)のパスミスでボールを奪われる。Juveは逆にショートカウンターで枠内シュートまでいく。
②8:40(左)
キリアコプロス(#77)が黄色いエリアにロングボールを供給。カプートがそれを収め、ジュリチッチ(#10)、トラオレ(#23)を経由し逆サイドに展開しビルドアップに成功する。最終的にアーリークロスによるシンプルな攻めでJuve、ボックス内まで侵入する。
③15:40(右)
ロマーニャ(#19)が右サイド側の黄色いエリアにボールを供給。ピアニッチが頭で競り勝つ(よくやった!)。Juve最終ラインから仕切り直し。
④31:20(左)
ボックス内のワンツー(狂ってやがる)で前進したマルロン(#2)が黄色いエリアのワイドな位置に幅を取っていたキリアコプロス(#77)にパス。多少グダるが、その後縦につけて左サイドからビルドアップに成功する。
⑤73:00(左)
同点に追いつき勝負を決める追加点欲しさからか、はたまたSassuoloのビルドアップに嫌気が差したのかは分からないが、Juveはこのときのゴールキックのときは守備の配置をより高く設定した(画像参照)。
①のケースと比べて分かる通り、ピアニッチとベンタンクールの位置がより高く、はっきりとしたマンツーデイフェンスになっているのが分かる。しかし、前に二人のCMFとRIHを配置したせいで、トップ下のダンカン(#8)が完全にフリーとなった。ダンカンはこのあと黄色いスペースに走り込むが、マテュイディはこのとき混乱したに違いない。「え?おれ左から2つのレーン、せいぜい中央レーンまでのスライドじゃないのかと。誰が見んねん、そいつ!」と。あえなくスペースと人を利用されてゴールキックからカウンターのような状況を再現されてしまう。
⑥78:50 (中央)
ディバラのナイスプレス(ワンサイドカット)により、パスコースを限定されたマルロン(#2)はロングボールでビルドアップを放棄。一応Magnanelli(#4)へのパスコースは空いてるように見えるが、さすがに時間帯も考えてのリスク管理と見ていいだろう。
特に⑤のケースは疑似的なカウンターの状況が仕上がってて、改めてみると驚いた。もし、Sassuoloにムバッペとかのスピードモンスターがいたらあのままぶちぬかれてたに違いない。ぜひ、このブログを読んだ方で試合を観れる人は、以上のデゼルビSassuoloゴールキックコレクションを見てみてほしい。
・おわりに
なんだかデゼルビ監督のゴールキック特集みたいになってしまって癪だが、仕方ない。Juventusのホームで引き分けたのだ。リスペクトを込めて相手監督を特集してもいいじゃないか。インテルに首位奪還されたし、来週はノリノリのラツィオとの2位、3位直接対決だし。Juveにとっては正念場ですね。昨季は申し訳ない感じでラツィオに勝ってしまったので超警戒ですよ。アタランタと同等レベルの難敵だと思うので。頼むぞJuve