UEFA Champions League 第5節 Juventus VS. Atletico Madrid 

◇結果

Juventus(H) ー Atletico Madrid(A)

1-0

 

45+1min ディバラ(直接FK)   -0

 

 

◆スタメン

Juventus

GK シュチェスニー

DF ダニーロボヌッチデリフトデシリオ

MF ベンタンクールピアニッチマテュイディラムジー

FW ディバラロナウド

 

太字は前節から引き続きのスターティング選手。

 

交代

63min ベルナルデスキ IN ラムジー OUT

76min イグアイン IN ディバラ OUT

86min ケディラ IN ベンタンクール OUT 

 

 

Atletico Madrid

 

GK オブラク

DF トリッピア、フェリペ、エルモソ、ロディ

MF サウール、エレイラ、パーテイコケ

FW モラタ、ヴィトーロ

 

※太字は前回Juveと対戦時と同じスターティング選手。

 

交代

54min J・フェリックス IN ヴィトーロ OUT

60min コレア IN エレイラ OUT

64min ルマー IN ロディ OUT 

 

◇試合展開

両チーム怪我人で数名の主力選手を欠く状態での対戦となったが、客観的に見てもヒメネスサビッチの両CB、そしてFWのジエゴ・コスタを欠いている状態に加えて、Juveはグループ突破が決まっていてホームゲームという心理的要素を踏まえても、Atleticoにとってはかなり厳しい状態での試合になったように思える。

両チームの布陣は、4312のJuveに対して、Atleticoはシメオネお馴染みの442だった。試合の立ち上がりこそは、あまりボールが落ち着かなかったものの、Juveが最終ラインからビルドアップする時間が増えてくるとAtleticoの守備セットが徐々に明らかになった。それは442に構えつつもも、JuveのSB(右:ダニーロ、左:デシリオ)にボールが入ったときにAtletico442の両SH(右:サウール、左:コケ)が対応し、サイドでは442が433のようなセットに変化するというものだ。そして後述するがこれが実に機能美にあふれた守備体系を成していたように思える。

Atleticoは上の守備がハマったときに発生するサイドでのショートカウンターやサイド攻撃からのクロスなどによりチャンスを作っていた。Juveはいつもよりピッチをワイドに使っていた印象が強く、デシリオのワイドに張るポジショニングがそれを可能にさせていたように思える。そしてJuveは前半終了間際にディバラの直接FKにより先制。

後半も前半と似たような展開が続くが、アトレティコは3人目の交代枠を使ったときの大幅なポジションチェンジなどを行っていたのは印象的だった。66分にJuveのベルナルデスキはカットインから左足で強烈なシュートを放つが右ポストを叩き追加点を逃す。どうしても点の欲しいAtleticoは、左サイドでボールを溜めて、右サイドのアイソレーション*1を利用したRSBトリッピア頼みという単調な攻撃になっていたように感じた。試合終了間際にはAtleticoに決定的な場面が訪れるが、FWモラタがこれを物にできず結局1-0で試合終了。Juveはグループ最終節を残して1位通過を確定させた

 

◆感想

CL16強へ1位抜けを決める、

La Joyaの魔法仕掛けのバズーカFK炸裂!!!

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新たな決めポーズで祝福!

 

・Atleticoの守備体系に見る、ディエゴ・シメオネの狙いとは

フットボールにおいて、『やれあの監督の狙いはあーだこーだ、やれあのチームはこうしたかったに違いない』などと言うように選手や監督、チームの(知る由もない)考えや作戦を推察したり議論するのは大いに楽しいものである。

というわけで今回はAtleticoのディエゴ・シメオネ監督の心の中を勝手に暴いてやろうじゃあないか!(合ってるかは知らん、シメオネに聞いてくれ)。

結論から言うと、試合を観ている途中でふとこんな命題を思いついた。【シメオネはJuveのSB陣に照準を定めているのではないか??】、照準を定めるなんて周りくどい言い方はヤメにして、端的に表すとシメオネは今回の対戦においてJuveの弱点は両SBにあると考えていたのではないかということだ。

私がそう考えた理由は主に2つある。

①JuveのSB陣の構成的な問題

②Atleticoの両SHのプレッシング

の2点だ。①に関しては、地元紙のほとんどが予想していたとおり、『異端児RSB』、クアドラード先発をシメオネも想定していたのではないか?と自分は思う。というか自分もクアドラードが先発だろうなと思っていたくらいだ。正直に言え!誰がダニーロ先発で来ると思った⁉しかし、ふたを開けてみれば先発の座は『正統派RSB』ダニーロだったのである。

多くの人も同意してくれると信じているが攻撃センスはすでにクアドラードに分があると思っている、守備の面に関しては向上は見られるものの元々ディフェンスの選手じゃないということもあって、特にクロス処理が明らかな弱点になっている気がする。対してAtleticoと言えばクロスの名手トリッピアクアドラードの対角にいる始末であるクアドラードのとこにトリッピアのクロスがバンバン飛んでくるなんて冗談がキツい。サッリはこの部分を懸念してダニーロを今回を採用したのかもしれない。本当に妄想通り駒選びから勝負が始まっていたとしたらアツい....。孫氏曰く、勝敗はすでに戦う前から決しているのだというし、ありえる話だ。

そしてLSBは言わずもがな、圧倒的対人守備スキルを誇るアレックス・サンドロの負傷離脱によるデシリオ先発である。個人的にデシリオの能力を低く見積もっているつもりは全くないが、出場試合数から見てもサッリ的には2番手になっているのは事実だ。その点をシメオネが『アレックス・サンドロがでてくるよりかははるかにマシだ、狙いどころだ』と考えたとして不思議ではないだろう。

そして理由②Atleticoの両SHのプレッシングについては画像を交えながら説明していこう。まずはいかの画像を見て頂きたい。

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11:30ごろのシーン。中盤の選手であるコケがRSBダニーロにプレスをかける

試合展開の部分でも述べた、機能美にあふれた守備とはこのことである。4→19→13ダニーロとパスが回ってきた11:30頃のシーンはほんの一例でしかなく、他のシーンでもたくさん、LSHコケ VS. RSBダニーロをしているときに逆サイドのRSHサウールがLIHマテュイディに対応しているのが分かるとおもうので、興味のある方はぜひみてほしい。

このあとダニーロはパスコースが消されて手に詰まり、GKシュチェスニーを一度経由してLSBデシリオまでサイドチェンジをする。それが以下のシーンである。

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右サイドにわたったときのAtleticoの対応。

さきほど、マテュイディをケアしていたRSHサウールLSBデシリオにボールが渡ったときにすぐさまプレスをかけにいく。このときのラインはもはやモラタと横に並ぶくらい高いのである。これは設定しているプレスラインが高い証拠であるとも言えるのではないか。実際、デシリオはここでマテュイディに通そうとするも後方に構えていたトリッピアに完全に狙われていて潰され、そのままショートカウンターでシュートまでもっていかれブロックの末、CKまで繋がるのだ。

以上の理由・根拠から、シメオネが今回Juve戦では両SBをターゲットにしてきたのではないかと私は考えた。どうっすか?シメオネさん?

 

・【第1回】Is This Sarri-ball? ~教えて!サッリおじさん ~

そしてサッリ体制になっておよそ20試合弱、そろそろこの還暦ヤニ厨こと、サッリさんの哲学(≒サッリボール≒サッリズモ)も覗いてみようじゃないかということでこういったコーナーも作ってみました。定期ではないです。都度それっぽいシーンを発見したらとりあげてみようかなと。

いつぞやの公式会見のインタビューで我らがサッリ監督が語っていた『正直言うと”サッリズモ”については良くわからない。読んでもみたけどワシには分からなかった。私は経験によって変化してきたが固い信条をもってコンセプトは変わらずにいる。』という変わらないコンセプトについて追及していくつもりです。

 

このシーンは、 ロナウドとディバラの相手CBに対する猛プレスでCBにハイボールを蹴らせて,映像が示す72:38あたりでそのハイボールを頭で処理したデシリオからピアニッチに繋がったとこから一度も奪われずに26本のパスからなる一連の流れで繋がっているのだ。73:44にプレーが切れたとすると64秒もの間相手に一度もボールに触れさせることなく文字通り支配した。ボールを追いかけているつもりのルマーは知らぬ間に鳥かごの中の鬼状態になっていた。そして見事に釣られた。

私はこの一連のプレーの支配感、それも『ただボールを保持している』という状態ではなく、相手の心理(ここではルマー)を含めてゲームそのものを支配する、もっと言えば「自分の選手らにゲームを楽しんでもらう」という部分にサッリの哲学を感じたが、どうだろう?なんか楽しそうじゃない?

とまあ、締め方が分からなくなったので第1回Sarri-ball談義はこれでお開きとする(笑)

 

・おわりに

無事、CLのグループを首位抜け確定することができましたね!上でうだうだといつもながら長文を綴ってはいますが、結局ファンとしてはシンプルにこの結果が嬉しいです!!しかも、ひっさしぶりにディバラのFKゴール見れたし。17/18シーズン以来になるんじゃないですかね?

次回は日本時間12/1(日)20:30キックオフのホームでのSassuolo戦となります。DAZNでLIVE配信される予定みたいです。かなり見やすい時間帯で嬉しい限りですわ。

 

*1:片側のサイドに人を密集させ(=オーバーロード)、逆のサイドを孤立した選手を作ることを『アイソレーション(孤立)を利用する』と言ったりする。