【19/20セリエA制覇!】サッリJuveの課題と来季について
ご挨拶
日本時間7/27(月)の朝方、JuventusがホームでSampdoriaを2-0で下し通算38回目*1のスクデットを獲得!!!
発表された優勝を祝うハッシュタグは#STRON9ER. キャプテンである、キエッリーニを早期に膝の大怪我で失い、続いて期待の新鋭デミラルも同様に膝の故障で長期離脱。そしてイタリアに甚大な被害を及ぼしたコロナ。コロナ禍により予定がずれこんだことによる、おそらく誰もかつて経験したことのない超過密日程。超過密日程に関しては他のクラブと相対的に考えたときにベンチメンバーも豊富な選手がいるJuventusに有利に働いたという見方もできるし、実際私もその点には同意する。しかし、誰にとっても長く、そして苦しいシーズンであったに違いない。その中でのスクデット獲得。改めておめでとう!最大の賛辞を選手、監督、サポーター、Juventusに関わるすべての人に!
さて、式辞はこれまでとしてここからは今季のサッリJuveを評価しつつ私なりに考える課題・問題点を指摘したうえで、それを踏まえた補強すべき人材、来季のチーム像について書いていきたい。
19/20 サッリJuveの課題(主に攻撃面)
①リトリート(退却守備)*2を崩しきれない問題
この問題はシーズン序盤から浮き彫りになった。特にCLのグループステージで対戦したロシアのLokomotiv Moskvaとの試合や、多くの国内プロンビンチャ相手との対戦時はどれもキツい印象があった。
リトリートに対していわゆる、教科書的な解答を求めるのであれば屈強なフィジカルとある程度柔軟なボールコントロールをもつ(DFを背負った状態でプレイできる)CFを狙ってロングボールによるパワープレイやポストプレイで狭いスペースだろうが強引に収めて展開を作っていくような手法や、引いて守ることを逆手に取ってミドルシュートを打っていくことだと思う。しかし、残念ながら現在のスカッドにはそのような前線に張ってボールを受けてくれる純ポストプレイヤー的CFはいない。ミドルシュートに関しても、現スカッドでおそらく一番ミドルシュートがうまいピアニッチはバルセロナへ旅立つ。しかし、ロナウドやディバラと言った選手はいるのでミドルシュートの点はピアニッチが抜けてもそれなりに期待できる。ボヌッチやデリフトもミドルを決めれることを証明してるし、中盤のラビオもミドルシュートの素質の片鱗を見せている。
つまり、この項目を人事的に解決するのであればポストプレイのできるCFの獲得であろう。噂に出てるローマのジェコや、アタランタのサパタ、ナポリのミリクというのはその点理に適っているのではと私は思う(後述する条件ゆえにミリクは力不足感は否めない。)。また、噂は聞かないがチェルシー時代にサッリと一緒に仕事をしたオリヴィエ・ジルーもワールドクラスのポストプレイができる選手だ。しかし、33歳という年齢やチェルシーと単年契約を更新したばかりなので非現実的。
もし本当にCFを補強するなら以下の条件というのも満たしていてほしい。『イグアインよりポストプレイの能力の面で上であること』かつ『自身のゴールよりロナウドの黒子になれる献身的なメンタルを持ち合わせてること』。純ポストプレイヤー的CFはいないと言ったものの、イグアインはFWとしての万能的な能力を持ち合わせてるため、サッリJuveでもCF的な起用をされてきた。せっかく獲得してきた選手がイグアインよりできないとなればそれはもはや本末転倒である(人員整理によりイグアインを放出して人件費のコストを下げることはできるが、本記事では財政面に関しては度外視する)。
①の課題を補強以外のアプローチで解決できるのであれば、それは戦術的なアプローチになると思う。 つまり、一流のポストプレイができるCFなんぞいなくてもやったるぞ!ということである。これをするには、おそらく昨季のCL王者、今季はプレミアリーグを破竹の勢いで制覇したLiverpoolのように敵のDFが堅牢なブロックを構築する前にポジティブトランジションによるショートカウンターで仕留めるというサッカーを究めていくことになると思うのだが*4、サッリズモ的にはボールの主導権を握る(≒ボールポゼッションを高めていく)ことになるので、この部分での大幅な変更・改善があまり期待できない。
しかし、サッリズモは守備時にはコンパクトにして敵陣内でコンパクトにして前プレスをかけてボールを奪うという特徴もある。FW陣がコースを限定して、中盤で潰すということになるので、中盤の選手には前にでるためのスプリントやインターセプト能力、コンタクトの強さなど求められる。幸いなことに、ラビオ、ベンタンクールなどが良い兆候を見せてきており来季には期待大の選手である。また、中盤にはアルトゥールとクルゼフスキの加入が確定しており、登録上はMFのクルゼフスキ*5はスピードも、コンタクトの強さもある程度備えてそうなのでチーム全体として攻撃力だけでなく、守備強度の向上も期待できる。
そういう意味ではサッリの求める人材(前線でプレスかけて中盤で潰す)は揃っているように見えるので、奪える回数を増やし、奪ったあとの展開でもっと明確なゴールまでのプランがあってほしいものだ。
③遅攻が主体となっているのにも関わらず、クロスの質が低すぎる問題
SBがワイドに張ってボールを受けたとき攻めあぐねてとりあえずクアドラードやアレックス・サンドロ、ダニーロあたりからクロスが放り込まれるものの、中で待っているロナウドの頭上をむなしくも越える宇宙開発クロスはもはや日常的な光景だった。
これの問題に関しては①、②の問題から生まれる攻撃パターン、多様性の欠如による影響でかなり目立ってしまった明らかな弱点だ。昨季は、RSBカンセロのクロスは一級品であったし、サイドに流れたロナウド→マンジュキッチへのクロス、逆にマンジュキッチが左に流れたときにマンジュキッチからのクロスもそこそこ精度が良かった。
しかも、プレーの質という問題なので戦術なアプローチで改善するのは難しく、単純にクロスが上手いSBを獲得するべきなのではと思う。
無理やり戦術的な解決策を提示するなら、①の問題に関連するが、リトリートを崩す手段としてSBの高いポジショニングによる敵陣深くでの数的有利を作ることで打開するのもトレンドのようだ。JuventusのSB陣は戦術上そういう指示があるのかもしれないが、上がってもせいぜいビルドアップ時に一列上げたりする程度である。ボールサイドの逆側のSBは機をうかがって、思い切って前にポジションを取り、弧を描くクロスで宇宙開発を続けてしまうのであれば逆側からSBが受けたら足元につけるような低くて速いアーリークロスを入れてみたりするのも面白いのではないか*6。
けっきょく来季どうすんの!補強は??フォーメーションは??(ここだけ読めばおk)
・前線でターゲットになれるサポートタイプのCFを獲得
・CF取らないなら戦術変えろ!!!
・中盤はラビオ、ベンタンクールが中心!
・クアドラードは今季がんばった!でも、本職SBでクロス上手い選手が欲しい!!
20/21予想フォーメーション
・予想A(CF獲得できた場合)
Point
必然的にディバラには引いて守るときは今季ベルナルデスキが見せてくれたような献身的な守備が求められる。ただし、その状況自体が望まれないので、理想は『一生ハーフコートサッカー』である。
もしかしたらクルゼフスキが右のインサイドハーフいけるかもね。
予想B(CF獲得できなかった場合)
Point
やはりParmaでノリノリのクルゼフスキをRWGで観たいですねえ。
以上!ワールドクラスのCFと一枚でいいからワールドクラスのSBを頼む!!!!!パラティーチ!!!!
*1:カルチョ・スキャンダルにより04/05、05/06のスクデットは剥奪されているためイタリアのサッカー協会的には36回の模様
*2:一般的にフィールドプレイヤー10人ほぼ全員をボールホルダーに対して後ろに配置させて、ホルダーに対してプレスをかけるというよりは引いて守る守備のこと。
*3:守備から攻撃の切り替えのこと。
*4:余談だが、多くの人がご存知の通りリヴァプールにもフィルミーノというポストプレイもできる万能型のFWはいる
*5:Parmaでは右WGでの起用が目立つ。どちにしろ右WGならJuveでは守備も大いに任されることになるだろう
*6:クロップLiverpoolのSB陣がわりとよくやる戦法